“鳴く虫”専門店 〜鳴く虫処 AkiMushi 〜
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鳴く虫の音色を楽しむという文化は世界的にはあまり知られておらず、アジア固有、特に中国や日本に限定的と言ってもよいほどです。有名な話ではありますが、多くの欧米人は、鳴く虫の出す音を右脳で処理しているといわれています。これは、自動車のエンジン音などの雑音が聞こえるのと同等の感覚らしく、普段、鳴く虫が鳴いていても、雑音と同じなので意識できずセミなどのやかましい虫ならともかく、密やかな音色には気が付かないといいます。一方、我々アジア人の多くは鳴く虫の音色を、会話や音楽を聴くのと同等に、左脳で処理しているため、他人のひそひそ話が聞こえて理解できてしまうのと同様に、たとえその虫が密やかな声で鳴いていても、音の美しさや心地よさに気づくことができるといわれています。このように欧米人とアジア人には、鳴く虫の音の聞き取り方に生理的な違いがあるようです。これだけでは無いとは思いますが、鳴く虫を楽しむ文化がアジアのみで発展した大きな理由の一つになっているのでしょう。 その歴史は、人々がいつから虫の声を楽しむようになったかは定かではありませんが、ペットとしてであれば、隣国の中国では、知られている限りでもおよそ1200年以上〔唐代〕前から飼育されその音色が楽しまれていたといいます。日本でも時を同じく、平安時代には、既に虫の鳴き声を楽しむという心は備えていたらしいく、少なくとも平安中期〔およそ1000年前〕には、一部貴族のあいだで飼育は楽しまれていたといわれています。もしかしたら、その頃の日本人にとっての鳴く虫は、中国から輸入された文化の一つにすぎなかったのかも知れないですが、何れにしても、1200年ほど前の時点で、両国は“鳴く虫文化”のスタート地点を過ぎていたことに間違いはなさそうです。 その後、日本に関しては、記録も少なくはっきりしたことは分かりませんが、江戸時代後期あたりには、かなり種類の鳴く虫が飼育され、“虫売り”と言い、地方から鳴く虫を担いで行商する人もいたくらいで、専用の飼育道具もかなり充実していたといいます。ちなみに、発生時期が早く音色の美しいキンヒバリは、シーズン到来の先駆け的な虫であったらしく、人気も高かったとか。その他、秋が深まるとクサヒバリやおなじみのスズムシ・マツムシなども人気だったらしいです。しかし、その風習も時代ととも衰退し、現代では、ごく一部の人のみの楽しみとなってしまいました。一方の中国では、多くの記録が残りその全てをここでお伝えすることは出来ませんが、多少の流行り廃りはあったでしょうが、常にその心は忘れられることなく、いま尚、発展の一途を辿っています。特に枝分け的に生まれた“戦うコオロギ”闘蟋文化については時として、あまりにものめり込みすぎて、一国を滅ぼしてしまった政治家の話など、有名な逸話も多く残されています。現代に至っては、私の知っている上海だけでも、300件以上の専門店があり、中国全土ではどれほどの数があるか見当も付かないほどです。また、専門書も多数種出版されており、闘蟋に関するものはもちろん。キリギリス類の楽しみ方といった趣旨のものや、飼育道具のみの本まであります。このように、文化・技術諸々日本と中国では比べ物にならないほどの差があり、今なお発展し続けている勢いです。 冒頭でも説明させていただきましたように、アジア人である我々日本人は、本来なら、虫の声を美しく感じ・楽しむことができる筈です。都市化が進む現代でも、鳴く虫達は、力強く生き抜き、都心部ビル街でも、カネタタキやアオマツムシなどは生息しています。シーズンになれば、日本中何処にいても、鳴く虫はその声を奏でてくれます。しかし、若い世代には「虫の声は一度も聞いたことが無い」という人もいるくらいで、欧米人のように、鳴く虫の声が意識できなくなってしまった人も多くなってきたと感じると同時に、それだけ今の日本人には心のゆとりが遠のいているのでは?とも思うと、少し残念に思います。今日現在、鳴く虫の素晴らしさを知っている私達が、より素晴らしく美しい文化へと築いてゆければ、鳴く虫の声が聞こえなくなってしまった人々もその音色を思い出してくれるかも知れません。そして、少しでも多くの人が街中で鳴く虫の声を楽しむ“ゆとり”を感じてくれるようになれば、と考えております。 |
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